raw現像?
jpeg撮影?
うーん、そもそもなんて読むの?
結婚式の写真業者を探していて、サイトの説明を読むものの、わからない単語ってたまにありますよね。『〇〇撮影だからクオリティが高い』とか言われてもわからんよ、、、ってなっちゃいます。今回は、撮影方法などでよく見かける「raw撮影」や「jpeg撮影」に焦点を当てて説明していきますよ。大丈夫、カメラに詳しくなくてもわかるように解説します!
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解説を始める前に
「raw撮影している奴は下手クソ」
「jpeg撮影のほうが上手い」
こんな感じの表現をみたことがあるんじゃないでしょうか。実は、こういう俗説がウェディングカメラマン業界には存在します。でも、これらはある意味で正解の部分もありつつ、ある意味で間違いでもあります。ではなぜ、こんな俗説がささやかれているのかも含めて、両方の視点から掘り下げていくことにしましょう。
今、結婚式の写真のほとんどはデジタルカメラでの撮影です。デジタルカメラはあなたが持っている携帯電話のカメラなどと同じで、カメラの前にある光景を写真のデータにしてくれます。この時のデータのタイプに名前がついていて、下記のような呼び方をします。
raw(ロウ) jpeg(ジェイペグ)
これらはデータの呼び方。種類の名前なんですね。カメラマン業界では日常的に使われます。では、これがどういう意味なのかを解説しますね。
あなたが持っているスマホも、プロカメラマンが使っている大きなデジカメも、めちゃくちゃ大雑把に言えばおんなじ作りをしています。あなたには見えませんが、実はスマホのカメラは裏側ですごく頑張っているんですよ。
まず、どんなカメラも、カメラで撮影したデータはrawデータというものになるんです。実はこれ、まだ写真じゃないんですよね。カメラが風景をデータに置き変えたものなんです。人間には意味がわからない、電気信号なんです。だから、これを写真にしてもらわないと僕達人間には意味がわかりませんから、写真にする必要があります。
そして、写真に変換したデータがjpegと呼ばれます。その処理を「現像(げんぞう)」っていうんです。
プロ用のカメラもいっしょで、カメラ自身が現像してくれる機能がついてます。
この現像処理を自分でやることもできます。専用のソフトを使ってrawデータを調整するんです。なんでそんなことをするのかというと、カメラにやってもらうよりも細かく設定ができるからなんですよね。つまり、自分好みに仕上げることができます。
調整できる項目は本当にたくさんあって、組み合わせは無限です。どこまででもこだわることができます。反面、それなりに手間です。
なんでこんな面倒なことをしてるのか、っていうと理由があります。
一度jpegに現像してしまうと、元に戻せないんですよ。rawには戻せないんです。rawでは調整できたはずの明るさや、色がjpegでは調整できなくなるんです。
料理で例えるなら、火を通して調理してしまうようなもの。
料理する前なら、甘くすることも、辛くすることもできたのに、一度完成してしまったら上から砂糖や七味をかける程度しか変えられませんよね。
生の人参は、料理する前は何にでもできた可能性があるのに、一度浅漬けにしたら、その後から炒め物にはできません。そんな感じ。わかりますかね?僕は料理が好きなので料理で例えます(笑)
現像ってそんな感じです。
便利そうな印象があるraw現像ですが、魔法じゃありません。ある程度の限度ってものがあります。明るくするにも、夕方を昼くらいにするのはできますが、深夜を昼にはできません。また、そういう作業を無理やりやるほど画質が汚くなる弱点があります。
例えば明るさは現像だけではなく、カメラの設定でも変わります。つまり、もともとのrawデータが明るく撮影できていれば、明るい写真に現像するのが簡単です。
反対に、カメラの設定が暗い設定だと、rawデータが暗い状態なので、明るくするのは難しくなります。
たくさんの項目がいじれるのが現像なので、人によってやり方が違います。しかも、使っているカメラやレンズにあわせて最適な値も変化するので、非常に慣れが必要な作業です。
慣れていないと、逆に項目数が多すぎて迷ってしまい時間がかかったり、振り回されて色が悪くなったりします。
でも、カメラが自動でやってくれる現像はとってもよくできてます。正直、下手に現像するよりとってもキレイに仕上がります。なぜかって、カメラメーカーさんが必死に綺麗な写真にするために研究した成果が詰まっているからです。
ここまでの話を一旦まとめましょう。
撮影の時はrawデータで撮影して、後でパソコンを使って現像をする撮影のこと。
限度はあるけど、色や明るさなど、後から微調整ができる。
時間と手間がかかる
撮影時にカメラが現像してくれるjpegデータをそのまま納品する撮影のこと
下手に現像するよりもキレイで早い
仮に撮影時にカメラの設定が悪いと、ほとんど直せない
「raw撮影してるカメラマンは下手」
「jpeg撮影してるカメラマンが上手い」
結論から言えば、上記2点は間違いです。
確かに、jpeg撮影「だけ」で撮影できる腕があることは、カメラの操作が正確だといえるので上手いことは間違いないでしょう。
カメラマンは職人気質の人が多いです。その「心意気」としては「jpeg撮影で渡せるくらいの緊張感や気概をもって撮影しろよ」というのもあります。実際、新人カメラマンにはそれくらいのことを言って教育することも多いでしょう。
だから、心持ちとしては間違ってないんです。だからそう言ってしまうカメラマンがいても仕方ないんですけど・・・
しかし、結婚式って撮影環境がコロコロ変わりますよね。ケーキカットはスポットライトで明るくなったり、ビデオ上映は電気が消えて暗くなったり、庭に出れば明るいですし、夜景は真っ暗です。そんな撮影で、ちょっと設定間違えたらお客様に渡せないような仕上がりになる方法をわざわざ使う必要があるでしょうか。
俗説の間違いが起こる原因として、カメラマンがraw現像を「下手な撮影をごまかすための手法」と考えていることが挙げられます。確かに、後から調整ができる現像は、ちょっとした設定の間違い等を後から補正できるので、未熟なカメラマンの腕をごまかすことにも使えます。
しかし、それは狭い物の見方です。
普段は意識しないと思いますが、実は同じ部屋の中でも場所や向きによって明るさって違うんです。カメラマンはそれに合わせてこまめにカメラの設定を変えながら撮影するんです。
しかし、いい瞬間というのは突然来ることもありますよね。待ってはくれません。例えば新郎新婦が笑ってるところを撮影して、次にゲストの表情撮って、また新郎新婦、みたいな展開を3秒以内に全部撮る・・・なんてときもあります。
こんな時は瞬間を優先します。だって、違うと言ってもちょっとの違いです。ゲストと新郎新婦の明るさ違うからって微調整をシビアにしてると逃してしまう瞬間があるわけです。それなら、許容範囲を見極めてrawで撮影して後で調整した方がたくさんの瞬間を残せますよね。
カメラマンをある程度やっているとメーカーの秘伝のタレに我慢ができなくなります。
料理で例えれば、CookDoの麻婆豆腐の素みたいなもんなんですよ。材料揃えて自分で味が决められる料理の腕があるなら、こだわりが出てきてCookDoじゃ満足できなくなるみたいな感じです。
本当に細かく設定ができるので、現像で自分のカラーを出せるような腕があるなら、現像をするようになっていきます。
繰り返しになりますが、現像にはそれなりの経験値が必要になります。そのため、ある程度のレベルにならないとメーカー秘伝のタレに及びません。
結果、raw撮影のほうが色が悪いなんてこともあります。
僕が前に所属していた会社の先輩も「rawは色が汚い」という意見を持っていました。実際、人によってはカメラにおまかせしたほうがマシな結果になります。
これも、俗説の一因になっています。
ここまでの書き方だとraw撮影こそ正義、みたいになってるかもしれませんが、もちろんjpeg撮影だってアリです。現像を自分でしない分手間が少ないですし、お客様にすぐ渡す必要があるような商品であれば便利です。
結婚写真の商品の中には当日にデータを用意しなくてはいけないような商品もあるので、そういった場合には重宝する撮影方法です。
2つの方法を両方使う人もいます。
例えば、「基本的にjpeg撮影だけど、撮影条件が複雑で難しい場面はraw撮影する」なんて賢い方法もあります。
メーカーの現像は本当にキレイなので、それがバッチリハマる条件を見極めて使い分ける人もいるわけです。
お客様の要望や、会場の環境によって求められるものは違うので、カメラマンはそれに合わせて色々な設定を行います。なので、本来は「どちらがいい」というようなものではありません。
大切なのはそのベースとなる「カメラマンの価値観」であって、そこに特色が出るのではないでしょうか。
長くかきましたが、rawだとかjpegだとかが写真の本質を決定するわけではないのです。ぜひ、カメラマンが何を考えて撮影しているのかにも焦点をあてていろんなサイトを見てみてくださいね!
KOBATONE 小林嘉明
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