写真を撮るといつも目を閉じてしまう。自分だけやたら半目が多い。
そんな原因で写真に苦手意識をもっていませんか? でも、安心してください。案外カンタンに目つぶりは防止できるんですよ。今回は科学的な実験を踏まえてお伝えしていきますね。
*当記事の動画版もあります
今回お届けする内容はこちら
目つぶりの意外な事実
僕はプロカメラマンです。写真の打ち合わせをお客様とする機会もあります。そんなとき、多くの人が「目つぶり」の相談をしてくるんです。
「僕、いつも目つぶっちゃうんですよね」
「どうしたら半目にならずにすみますかね?」
なんてよく聞きます。
で、ちょっと意外な話。
実は、上記の相談してくる人って、普段喋ってる時はそんなまばたき多くないんですよ。ごくまれに、もともと多い人ってのもいるんですけど、ほとんど場合は大して多くないんです。
じゃあなんで写真の時に目つぶっちゃうのか?
それは、「いつも通りの動きができてない」ってことが原因なんです。
いつもの動き=オートパイロット
スポーツ心理学のジャンルでは、何も考えずに体が勝手にできるような行動をオートパイロットといいます。
例えば、自転車に乗る時。いちいち、右足をこいで、左足をこいで、倒れないようにハンドルをちゃんと握って左右に蛇行して・・・なんて考えないですよね?
もちろん、初めてやる時には意識してやったと思うんですけど、慣れてしまえば意識しないでもできるはずです。こういった動作がオートパイロットです。
いつもの動きができなくなってしまうのはどんな時?
オートパイロットを実験してみた面白い実験があるので、一つ紹介しますね。
2004年にアリゾナ州立大学が実験した内容で、プロ野球の選手とアマチュア選手にバッティングをさせて、スコアを調べました。具体的には「どんなものが集中力を乱す要因になり得るのか」を調べたんです。
それぞれ2つの環境でチェックを行いました。
1、騒音の中でプレイする
2、自分のフォームに集中しながらプレイする
結果、面白い事がわかりました。
アマチュア選手は、騒音の中でプレーさせた場合、周りがうるさくて集中できなくいためパフォーマンスが下がってしまいました。
逆に、フォームに集中させた時はかなり成績が良くなったんです。
で、面白いのがここから。
プロの選手は騒音の中でプレーさせてもパフォーマンスの低下が見られなかったんです。
ところが、プロはフォームに集中すると激しく成績が落ちてしまいました。
これはどういうことなのか?
プロの選手は何千回何万回と素振りをしているので、フォームは体に染み付いています。つまり、オートパイロットが働いている状態。熟練した作業に関しては深く考えず体に任せた方が最適な動きをしてくれます。
しかし、あえて自分のフォームに集中することで
「あれ?自分はいつもどうやって動いてたっけ?」
という状態になってしまい、いつもの動きができなくなってしまう。
結果として、パフォーマンスが著しく下がってしまうんです。
自分の動きに集中してしまう「セルフフォーカス」という行動で「オートパイロット」がカットされてしまうという訳。
あなたはまばたきのプロ
じゃあここでももう1回話を戻しましょう。
あなたは、まばたきのプロですよね?
だって、生まれてこのかた、毎日24時間ずっとまばたきをしているはずです。どんなプロ野球選手が素振りをした回数よりも多いはず。
つまり瞬きはオートパイロットなんです。
「目つぶりが多い」と自覚している人は、写真を撮る際に「自分がまた目をつぶってしまうだろう」と「セルフフォーカス」している状態。
これが悪循環を生みます。
一度でもまばたきをしてしまったような気になると、
「あ、また目をつぶった」
↓
まばたきに意識が集中
↓
まばたきが増える
↓
「また目をつぶっちゃった!」
↓
焦る、まばたきに意識が集中
以下ループ
負の連鎖が続きます。コレは避けたいですね。
じゃあ、どうすればいいのでしょうか?
目つぶり対策:そもそもみんな瞬きが多い事実
まず、安心してください。そもそも人ってまばたきが多いのです。
そう、あなただけがまばたきが多いわけじゃないんですよ。
人間のまばたきってだいたい1分間に20回ぐらいと言われます。
1分間に20回なので、3秒間に1回ってこと。
そして、一回に目をつぶっている時間も結構長くて、実は0.3秒ぐらい閉じてるんですよ。つまり、3秒に1回で0.3秒なので、時間にしたら起きている時間の1/10ぐらいは真っ暗なんですよ。
これ、なんかすごくないですか?
だって、10時間起きてたら、そのうち1時間は目つぶってるっていうことなんですよ!
だから結構長いんです。安心してください、あなただけじゃありませんから。
ちなみに緊張するとまばたきは増えるので、安心するだけでも効果があります。
目つぶり対策:別のものに集中する
人間にはワーキングメモリーと呼ばれるものがあります。
パソコンのメモリと同じようなもので「いちどに考えられる量」と思っていただければ大丈夫。
ワーキングメモリには限度があるので、いちどにたくさんのものに集中することができません。つまり、瞬きではない別の何かに注目することで、頭の中から瞬きを追い出してしまおう、というわけです。
例えば、撮影されている時なら、カメラレンズの中を観察してみる。
「レンズってどういう動きしてるんだろう?」みたいな感じで覗き込んでみてください。
ポージングを支持されている場合には、体の動きに注目してもいいですね。
他にも、シャッター音を数えてみる、なんてのもアリです。
とにかく、他のなにかに集中してみる、ってのが肝要ですから、「まばたきを考える余裕がなくなるくらいの何か」であればOK。
もし、集中するのが苦手な場合は、テトリスをプレイしてみるのもアリです!
最近の研究で、3分間テトリスをやるだけでワーキングメモリがテトリスでいっぱいになって「食欲」が減少する、というものがあります。
注意がそれるという点では同じなので利用できるはず!無料で落とせるアプリもあるので試してみるといいかと思います!
ぜひ、参考にしてみてください。
良い結婚写真が撮れるように応援しています。
LINE@やってます。問い合わせや質問はこちらまで!
KOBATONE 小林嘉明