安くていいものが欲しい。
誰もがそう思います。結婚式でも同じことですよね。そして、写真を注文するとき、多くの人が気にかけるのが「持ち込み」ではないでしょうか?
持ち込みカメラマンは式場で売られている写真よりもおトクだと言われています。・・・はたして、本当でしょうか? 気になるところです。そこで今回は、実際に結婚式のプロカメラマンとして働いている僕が、「持ち込みは本当にお得なのか?」をお伝えします!
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結婚式写真のお金は、非常にわかりにくいです。
頭金、手付金、商品代、サービス料・・・・
いろいろな仕組みが絡まっているので、本当に大切なものが見えにくくなっています。もし、僕がお客さんだったら、さっぱりわからないと思います(笑)
でも、安心してください。基本の部分はとっても簡単です。
結婚写真の場合は、
これが料金表に乗っている金額。これだけです。ね、簡単でしょ?
わかりにくいのは、マージンですよね。
マージンとは簡単に言えば「販売代行料」のこと。商品を代わりに売ってもらっているから、その分お金を払いますよー。っていう料金です。
結婚式場見学へ行くとプランナーさんからたくさんの商品を紹介されますよね? そのなかのひとつが写真の商品。でも、写真はプランナーさんが撮っているわけではありません。写真の商品は写真屋さんが提供しています。
プランナーさんが働いているのは「プランニング会社」や「結婚式場」です。写真屋さんは、また別の会社。撮影の技術や、アルバムを作るためのプロが集っている組織です。
同じように、お花のプロがいる花屋さん、マイクや会場の音を扱う音響さん、料理の配膳をするサービスマン等、いろいろな仕事をする人が集まって結婚式を作っています。
プランナーさんの仕事は、たくさんのプロたちをまとめて、一つの結婚式を創ること。また、まとめることによって、ナチュラルウエディング風にしたり、ホテル風にしたりする等、結婚式に方向性を作ることができるのが強み。そのため、販売時にはプランナーさんが新郎新婦に商品を紹介・販売します。
これが「販売代行料」の正体です。
プランナーさんがプロ達のかわりに販売している料金、です。
たとえば、セブンイレブンでポテチを買うとき、コイケヤが直接販売するのではなく、セブンイレブンが代行して販売しているのと同じです。このばあいも、コイケヤはセブンイレブンにマージンを支払っています。
式場に入っている「提携業者」と呼ばれる会社たちは、全てマージンを支払っています。
メリットは
といったところ。
ですが、デメリットもあります。
特に最近はマージンは販売価格の50%といったケースが多く、言い換えてみれば「商品価値の2倍で販売している」とも言えます。
・・・なんだか損してるような気にもなりますよね。。。
しかしまあ、これはだいぶ乱暴な言い方です。実際には、プロデュースしてくれているブランドの価値や、細かくて面倒なやり取りを代行してくれている人件費もかかっているため、理不尽な料金ではありません。
持ち込みカメラマンのいいところは、自分の好みに合わせられるところ。そして、技術力が高い事です。
いくらプランナーさんが結婚式のプロでも、好みの違いはあります。特に写真は後に残るものなのでこだわりたい人も多く、持ち込み業者の中でも一番よく利用されている業種。
技術力もあります。持ち込みに対応しているカメラマンは、基本的にどこの結婚式場でも撮影ができるレベル。たくさんの経験を積み重ねて、柔軟に対応することが求められます。反対に、提携業者は「提携式場内」なら慣れていますが、外ではエキスパートではありません。また、持ち込み業者は常に自分で商品を売っているため、お客様のリアルなニーズに近いところにいます。総じて、レベル高めと言えるでしょう。
そして、支払う額の全てが商品価格。式場で20万円の商品は、実質半額の10万円です。しかし、持ち込みに20万円払えば、20万円の価値が手に入ります。
おトク感ありますよね。
もちろん金額イコール実力、ではありません。しかし、ある程度は比例するので、目安にはなります。式場価格の半分以上が出せれば、それを超える質のものが手に入ると思えば、なかなか魅力的ではないでしょうか?
実は、持ち込み対応しているような写真屋さんは、もともと提携業者としてカメラマンをやっていたケースが多いんです。提携で経験を積み、徐々に成長して独立、というのがよくあるパターンなためです。
こんな背景があることもあり、だいたい、持ち込みカメラマンの方が技術力が高い傾向にあります。
しかし、みんながみんな独立したいわけではありません。
提携業者に所属していれば、組織としての機能がカメラマンを守ってくれます。個人として世間の荒波に揉まれる必要がない環境もいいものです。・・・つまり、独立を選ばない人もいる。そのため、提携業者のカメラマンだけど実力は持ち込み業者レベル、という人も稀にいます。
なので「ほとんど」持ち込みカメラマンの方が実力が高い、というニュアンスなんですね。
しかしながら「全ての持ち込みカメラマンがハイレベル」ではありません。
ここ、注意です!
カメラマンには資格試験がありません。つまり、誰でも名乗った瞬間からプロになれます。すなわち、素人レベルの業者が混ざっている可能性もあるってこと!
なかなかこわい話ですよね…
「写真が好きだし、お金にならないかな・・・そうだ!この前結婚式でちょっとうまく撮れたからプロになろう!」
こんな人もいるってこと。極端な例だけどね。なので、ある程度の実績と、金額は確認したほうが安全だと思います。
せっかく手間をかけて見つけてきた持ち込みカメラマンが素人同然だとがっかりですから、このリスクは注意したいところですね。
ほとんどの場合、持ち込みカメラマンを選ぶ際の基準は
この2つを見て決める人が多いです。
写真が好みに合っているかはとっても大切なので問題ありません。しかし、安さを優先しすぎるのは要注意。
少しここで、自分がカメラマンだと思って想像してみてください。
結婚式の撮影って、だいたいこんな感じです。
この内容で、いくらなら働きますか? 少なくとも、2〜3万円は安すぎると思いませんか?
ところが、世の中には3万円くらいで撮影してくれる持ち込み業者があるんです。
・・・もちろん、人によってはOKかもしれません。
でも、準備や後処理を含めて、カメラマンが一つの結婚式にかける時間は少なくとも3日以上。これで日給計算すると1万円くらいになります。これは、日雇いのバイトと一緒ですよね。つまり、写真の素人が来る可能性が結構高いってこと。
安いことは嬉しいですが、あまりに安いのは要注意だと、僕は思います。
カメラマンによって、スタイルは違います。言い換えれば、大切にしていることが違う、っていうこと。
本当にいろんなこだわりがあります。
写真を見るだけでは、プロでないとわからないような内容も多いです。しかし、素人でも理解できることもあります。それがキャプション。文章です。
どんな事を考えて撮影しているのか、何に注目しているのか、お客様に対してどう接しているのか、なんとなく文章を見るとわかりませんか?
大切なことは、なるべく、自分がこだわるポイントと似ているところに力を入れる人に撮影してもらうこと。なぜなら、文章を読んでいて「あ、この人いいな」と感じるのは、自分の感性に近いものがあるから。
「こんなところも撮影してくれていたのか! 嬉しいなあ。」写真をもらった後にそう思える為には、感性が似ていることが大切なんです。要するに、人として気に入るか、ってことですね(笑)
もちろん、インスタでは写真も見てください。色や雰囲気で「ビビッときた!」とか、選ぶポイントは自由です。しかし、それだけで最終決定してしまうのはまだ早いかもしれません。
というのも、インスタに上げている写真って全体のほんの一部。本当はもっとたくさん撮影しているはずです。
多くの写真から「インスタ映え」するものを厳選して載せているってことですね。
特に、新郎新婦のツーショットが多くなっているはず。。。
でも、他にも大切な写真ってありますよね? お父さんと一緒にヴァージンロード歩く所とか、友人とワイワイ騒いでるところとか。。。もちろん、そういう場面も写真に残します。しかし、インスタにはあまり向かなかったり、見本許可がもらえなかったりして載せられない写真があるんです。
インスタには比較的コテコテな「キマってる」写真が載るので、それだけだと自然なところの雰囲気がわかりません。全体の雰囲気をみるためにも、「インスタ以外」の写真を見せてもらうとカメラマンのことがよく分かるでしょう。
結婚式では、「指示書」というものがよく使われます。
自分たちが撮影してほしいと思っている内容を、カメラマンに伝える書類のことです。
確かに、要望を明確にすることはとっても大切。相手が欲しいものがわかった方がカメラマンも撮り方を決めることができます。
でも、詰め込みすぎには注意しましょう。
僕も以前、タイムスケジュールにびっしり要望が書かれた指示書をもらうことがよくありました。それこそ、ガチガチに内容を指定するような分刻みのスケジュールです。カメラマンとしては、要望をもらった以上は叶えてあげたいんですけど、、、でも実は、これって他に何もできないんですよね。。。
というのも、実は指示書の優先度ってかなり高いんです。
結婚式の撮影では、一つの場面を撮影する場合でも、何通りかの「構図」があります。本当は無限にあるんですけど、僕たちはいくつかの「定番パターン」を持っていて、現場の状況を読みながらマッチするものを選んで撮影しています。
なぜなら、いくつかのパターンを持っていないと、リアルタイムの変化に対応できないから。
突然、カメラを持ったゲストが立ち上がったり、撮影に夢中でカメラマンの前に入ってきたりすることもあります。そうなると、狙っていた構図が撮影できなくなってしまうことも多いので、別のパターンを用意しておいて、柔軟に対応することが求められます。
でも、指示書があるということは、明らかにお客様にとって「ほしい構図」がある、ということ。
もちろん、カメラマンは要望を叶えてあげるために全力を尽くします。・・・ですが、他のパターンを封印することになります。
「えっ? そんな事するくらいなら、カメラマンさんの判断に任せますよ!」
そう思いますよね?
でも、要望の「重さ」は人によって違うんです。「絶対に、何があってもこの写真がいい!」というこだわりさんから、「なんとなくこんな感じで〜」くらいのゆるい人までいます。重要度がわからない以上、カメラマンは「指示書の内容は必ず守る」ように動くんです。
なので、「カメラマンの判断に任せます」という場合はかなり念を押して「任せます、本当に。」と伝えておいたほうがいいでしょう。あなたが思う以上に、指示書は優先度が高く設定されているはずです。
「実力が不明なカメラマン」であれば指示書は有効です。たとえば、式場の提携業者。なぜなら、誰が撮影するのか決まっていないし、レベルもまちまちなので、自分がほしいと思っているテイストになるとは限りません。それでも、ほしい構図がある場合には、指示書は結構使えるでしょう。
まとめると、「この人なら全部『おまかせ』でも自分の好きな写真を撮ってくれそう」と思えるカメラマンにすればいいんです。
そして、自分のこだわりや、ほしい写真をちゃんと伝えること。どれくらいの気持ちを込めているのかわかれば、しっかりしたプロなら対応してくれるはずです。
いい持ち込みカメラマンが見つかるよう応援してます。
KOBATONE 小林嘉明
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