「マインド」カテゴリーアーカイブ

日々の考え事など雑記をつづります。

『やるなら、全力で』結婚式カメラマンの日常

こんにちは。小林嘉明です。

今回は”全力を出すにはどうしたらいいか?”という話。

プロフォトグラファーいろいろ

プロの仕事といってもいろいろで、すっごい真剣に全力投球し続ける人もいれば、余裕を持って”流す”人もいます。どっちがいい、って話ではなくて、それぞれに”スタイルがある”ってこと。

“OKなクオリティ範囲に収めて納品する”このラインがクリアできていれば問題はないのです。

そして、言い換えれば、これ以外は自由。”スタイル”はその部分にあります。

必殺技なんて、ない

「プロの仕事」なんて言うとかっこよさげですけど、中身は非常に地味です。

野球選手なんかがわかりやすいところで、毎日”素振り”と”走り込み”ができる選手がいい選手。

ね、地味でしょ?

必殺技なんて、ありません。強いて言えば、毎日続けた素振りが”いつの間にか必殺技になってる感じ”と言えばいいでしょうか。

プロカメラマンの暮らし方

カメラマンだって同じです。毎日の積み重ねが基本。

ただ、カメラマンはちょっと特殊で、『人生の全てが糧になる』職種と言えます。

(改めて書くとちょっとかっこいいですねw)

というのも、普段目にするものが全部ヒントになるから。例えば、キレイな夕日を見たら「なぜキレイなのか」「どうやったら素敵に撮れるか」を考えます。食事に出かければ「美味しそうに見える角度」について考えたりもします。

今の例は写真だけですけど、カメラマンは接客業も兼ねます。いろんなことに興味を持っておけば、お客様と話すネタにもなりますし、会話が弾めば表情も良くなるわけです。

全力で楽しむ習慣が大切

それこそ使おうと思えば人生の全てが使える。そんな仕事です。

ただし、「使おうと努力すること」が大前提。あ、でも努力と言っても苦しいものではありません。毎日をどれだけ楽しんで、キラキラのピッカピカに心を磨いておくか、って話です。

世界を楽しまないと、写真に活かすことは出来ません。

「なんとなくダラダラ暮らす」が習慣になっていると全開のパワーが出ないんですよ。

だから、普段から本気の全開で暮らしを楽しむこと。これが全力の出し方。

“全力で生きる習慣”が大切だと思うのです。

参考まで。

ポイントは2つだけ! ウェディングの“コンセプト“を決める方法。

コンセプトウェディング、流行っていますよね。ホテルや結婚式場が準備している“よくあるスタイル“ではなく、自分たちでテーマを決めて行う結婚式です。

でも、なかなか「これだ!」といった内容が思い浮かばないもの。そこで今回は、コンセプトの見つけ方をお伝えします。満足のいく結婚式の参考にしてみてください。

良いコンセプトが見つからない

「そもそもコンセプトって何?」

誰しもが心の隅でもやっと思ったはず。コンセプトって言葉の意味がまずよく解りませんよね。一応辞書によれば下記のような意味だそうです。

  1. 概念。
  2. 企画・広告などで、全体を貫く基本的な観点・考え方。

うーん、調べてもよくわからない(笑)

もやっとしてます。

言葉の意味がよくわからないから「あなたの結婚式コンセプトは?」なんて聞かれてもわかりにくいんです。

なのでここはひとつ、僕なりの言葉でお伝えしましょう。コンセプトを簡単に言えば『こんな結婚式にしたいです!』って目標や考え方のこと。“テーマ”なんかに近いですね。

広告業界などでは厳密な定義が“テーマ”とは少し違うケースもありますが、そこまで考える必要はありません。気楽にいきましょう。マニアックに煮詰めるのは後からでも充分ですから。

コンセプトは2つの軸で見つけよう

結論をお伝えすると、コンセプトは2つの軸で考えることで見つけやすくなります。

例えば『予算×華やかさ』。いきなりお金の話かよ、って思うかもしれませんが、みんなが気にするポイントなのでわかりやすいんですよ(笑)

具体的に書くとこのような感じ。

  • なるべくお金をかけずに
  • 華やかさを演出する

なんだか方向性はわかりますよね。軸が2つあると、想像しやすくなるんです。

もう一つ考えておきましょう。今度は『自然×おもてなし』。

  • 自然を生かしたガーデンウェディングで
  • 出来る限りおもてなしをする

どうです?なんとなく方向が見えてきたんじゃないですか?

2つの軸が見えていると“どんな結婚式なのか“がわかりやすいですよね。

実はこの性質が商品を選ぶときにも役に立つんです。

判断する時にも便利

判断がずれると後悔しがち

結婚式は選択の連続です。

クレイジーウェディングさんの調査では、結婚式で決めなくてはならない決断は実に400個以上あるそうです。

実際に数えてみた事は無いので保証はできませんが、僕も納得の数値だと思います。

私たちが商品を判断する時、実に様々な要素が絡み合って決定を下しています。例えばブランド力や知名度。「有名デザイナーの〇〇さんが作ったものです」と説明されると価値を感じたりしませんか?

これは平たく言うと“世間体”のようなものです。“見栄”といってもいいでしょう。

あ、注意してくださいね。僕が言いたいのは、“世間体“は良くないといった話ではありません。むしろ、見栄を張りたいならその価値観を大切にしてほしい、と言うことです。

人間は社会的生物なので、周りの人間からの評価を気にするのは当然のこと。別に恥ずかしいことじゃないんですよ。

むしろ問題は“これは良くない価値観だ“と思い込んで、“本当の価値観とは違う選択をしてしまうこと“です。

これをやってしまうと「思ってたのと違うなぁ」「なんだかよくなかった」といった、もやっとした不満を生んでしまいます。

自分の気持ちとは素直に向き合いましょう。

本当に大切な要素で選ぶ

少し脱線してしまいましたね。話を戻します。

大切な事は“私たちの判断にはノイズが多い“と言うことです。

例えば先ほど例に出した「自然×おもてなし」のケースを考えてみましょう。

この価値観を選んだ新郎新婦は“なるべく自然を満喫できること“と、その上で“なるべく良いおもてなしをする“と言う2つの軸を持って選択することになります。

そうです。ここで“デザイナーのネームバリュー“は全く関係ないのです。

きちっと軸を決めておくことで、このような関係ない評価基準を排除することができるようになるんですね。

そのため、たくさんの商品がある結婚式においては、判断基準を決める土台になる存在です。ぜひ作ってみてください。

1つの軸だとコンセプトが決まらない

ここで疑問に答えておきましょう。

『軸は1つではいけないのか?』

ですよね。誰の頭にもぼんやりと浮かんだと思います。

実は、軸が1つだと曖昧な目標になりがちなのです。

例えば“おもてなしをする“と言うコンセプトを掲げている結婚式があるとしましょう。

“おもてなし“と言うのはかなりもやっとした概念です。何をどうしたらおもてなしになるのでしょうか?難しいところですよね。

仮に“ゲストに良い体験をしてもらう“のように定義したとしても、結婚式には予算や時間の制限が必ずあります。

もし無限にお金を持っているとしたら、結婚式の時間を自由に引き伸ばしても良いでしょう。予算をいくらかけてもいいと思います。ただ、99.9%の読者の方は違いますよね。

時間や場所など、何かしらの制限はあるのです。

だから軸を2つにする必要があるんですね。

“できるだけ〇〇で、できるだけ□ □”このように軸を設定すれば、少なくとも大きく踏み外す恐れはありません。

軸が1つであるよりもかなり具体的になるので、軸を2つにしてみるところから始めるのがお勧めです。

3つ以上でも大丈夫

となると、疑問に思うのが“軸は3つ以上でもいいのか?“といったところでしょう。

全然問題ありません。

ただし、多すぎる状態はお勧めできません。

上でも紹介したように、この基準は判断基準にもなります。そのため、項目が多すぎると判断が鈍くなってしまうんです。

できれば3つ、最大でも5つ以内に絞り込むべきだと私は考えます。それ以上だと判断ができません。

コンセプトが多すぎると“ぼやける“

お気づきかもしれませんが、ここで選んだ軸は“結婚式のコンセプト“そのままです。

なので、軸が多すぎるとよくわからない結婚式になってしまいがち。

世間でも、利用者によく伝わる企画は“一言で言い切れる“ものが多いと言われています。

「安い!早い!うまい!の牛丼屋」だったら吉野家か松屋でしょう。

「学生向け携帯キャリア」だったらKDDIが該当します。

ヒットしているものは、コンセプトが一言で伝わりやすいところまできっちり絞り込んでいるんです。

なので、あなたの結婚式を“伝わりやすい”ものにしようと思うのであれば、方向性をかっちりと絞り込み、一言で言い切れるレベルまで落とし込むと良いでしょう。

そのための手がかりとして軸を2つにする方法はかなりお勧めです。

無理に変わったコンセプトを探そうとしない

最後に1つお伝えしておきたいことがあります。

『無理にオリジナリティーを探さないでください』

コンセプトウェディングの雰囲気にとらわれて“とにかく変わったことをしよう”とか“人と違うことをしなくてはいけない”みたいにとらわれてしまうケースがあります。

他人は関係ありません。

“あなたの“結婚式ですから。

あなたが主役の時点で十分にオリジナリティーは発揮されているのです。

だから無理矢理奇抜なテーマにする必要なんてありません。自分が本当に大切にしている価値観に従うべきだと僕は思います。

ありきたりでもいいんです。

あなたが楽しい結婚式ができるよう応援しています。小林嘉明。

僕は、クレームに支配された婚礼業界を変えたいと思った。

とにかく大変だった。

先日、表参道にある結婚式場で僕は撮影していた。

いつものように、いわゆる「持ち込み」で撮影に入っていた。会場からは煙たがられる存在だと思う。事実、この会場では持ち込みを禁止していて、持ち込みをするには、カメラマンは新郎新婦のゲストという「てい」で入らなくてはならない。この日もそうだ。僕は普段、新郎新婦に対して、持ち込み禁止の会場へのゲストとしての持ち込みを奨めていない。しかし、いろいろな事情がありこの日は承諾した。まあ、そのあたりは本筋と関係ないので置いておこう。とにかく、僕は持ち込みとしてその場にいた。しかし、どうにもスムーズに撮影ができなかった。それはなぜか?

会場が気にしている部分と、僕が気にしている部分が違う。

コレに尽きると思う。そもそも、持ち込みカメラマンは撮影がやりにくいもの。なぜなら、会場側からすると僕たちは嫌な存在だから。多くの場合、邪魔されたり、圧力がかかったりする。撮影ができないように極端な時間の制限をかけられてしまうことも多い。ところが、この日は違うところにやりにくさがあった。原因は、メイクさんやアテンドさんとのコンビネーションだった。

この違いをわかってもらうために、少しだけ写真の話をしよう。

カメラマンによって違う撮影スタイル

撮影スタイルはカメラマンによって違う。それは「写真」というものが、撮影者と被写体の個性を強く反映するものだからだ。明るい写真が好きな人がいれば、反対に暗めのトーンが好きな人もいる。鮮やかさに惹かれる人がいれば、落ち着いた色のくすみに感動を覚える人もいる。それぞれの好きなテイストに近づけるため、僕たちはあの手この手で理想と現実の距離を詰めていく。

僕の場合は、それなりにキッチリした写真が得意だ。言い換えるなら、硬めの写真。なぜなら、ずっと写真室で修行していたから。写真室は1枚の写真に10〜15分くらいの時間をかけて、服の皺まで丁寧に直して撮影するような場所。婚礼業界では一番丁寧に写真を撮る場所だと思う。しかし、「これが一番いい写真か?」と問われたら、たぶん「違う」と答えると思う。

木を見て森を見ず

「木を見て森を見ず」という言葉がある。細かい部分に目が行き過ぎて、全体像がつかめていないことを指す言葉だ。まさに写真室の写真はこれが弱点だと思う。照明のあて方、構図、服の皺にこだわるのは良いことだけれど、あまりにそこにこだわりすぎているように感じる。

僕達が撮影しているのは人間だ。しかも素人の人間だ。モデルじゃない。

新郎新婦はモデルとしては素人なので、僕達カメラマンがポージングを教える。手の角度だったり、足の向きだったり、力の入れ具合なんかを手際よく伝える必要がある。器用さは人それぞれなので、パッと理解して出来る人もいれば、そうでない人もいる。また、「理解しやすい伝え方」も人によって違う。やってみせたほうがすぐ理解できる人、言葉のほうがわかりやすい人、いろいろだ。僕はお客様の性質を観察して、そのお客様に(心がけとして)合った方法でポージングをつけるようにしている。

時間とともに崩れるポージング

ほとんどの人は一つ一つ順番に教えないと伝わらない。

「足をこうしてください。」「手をこうしてください。」「胸の向きはこうです。」「顔はこっち。」「腕組みましょう。」

こんな感じで順番に組み立てる。新郎新婦としては非常に肩が凝る退屈な時間だ。ここをどれだけ退屈させずに、直感的に理想の形に近づけるかが僕達カメラマンの腕でもある。かなり重要な能力だ。そしてここで、忘れてはならないことがある。それは、「指示した内容は必ず崩れる」ということ。

足、体、手、胸、腕、顔・・・なんて順番で直していたとしたら、腕くらいを直している時には足が崩れている。崩れている、というのは指示した形ではなくなっているということ。プロのモデルでもない限りこの維持は非常に難しい。だからこそ、僕たちはスピーディーにポージングを組み立てる能力が必要になる。

表情も時間とともに悪くなる

早いほうがいい理由はそれだけじゃない。この難しいポーズを長時間しているようにしている新郎新婦自身の「表情」が悪くなってしまう問題がある。ただですら緊張しているし、いつもは着ないものを着ている。そのうえ変なポージングまでするのだから、体感時間はかなりのものになる。僕達カメラマンの手際が悪ければそれは何倍にもなる。結婚式で浮かれているとはいえ、時間とともに表情の明るさはどんどんなくなっていってしまう。僕たちがポージングを作り始めた瞬間から、言ってみれば表情の「鮮度」のようなものが失われていくのだ。

しかし、ポージングやドレスの直しを適当にすることは出来ない。やはり、「最低限のキレイに見せるポイント」というものがあって、それを踏み外してしまうと素人と同じような写真になってしまうし、誰がみても第一印象で「きたない」写真になってしまう。

時間と丁寧さのバランス

では、どうするか?答えは、「全てのポイントに優先順位を付ける」そして「優先順位の低いものは切り捨てる」さらに「最も効率の良い順番で組み立てる」こと。たとえば、ドレスの小さい足元のしわ1つを直すよりも、ドレスがどちらに流れているか?という大きな問題の方が、写真を見た時に感じる印象への影響が大きい。だからこの場合、ドレスの小さなしわは無視する。それよりもダイナミックに自然な方向にドレスが流れているのかを意識する。

ドレスの細かいしわを一つずつ伸ばしてもいいが、ドレスはひとつながりの大きな布であるため、必ずどこかにしわは出来るものだ。「必ずドレスの縁は地面についていないといけない」という価値観が写真室出身のカメラマンには多く、彼らはそれがキレイの基準になっている。しかし、そういう直し方をしていると最終的にシルエットがおかしくなる。まさに、木を見て森を見ず。というわけだ。

クレーム対策と婚礼業界

もともと、僕もそういう価値観の写真室で働いていた。地面とドレスの間に少し隙間があるだけで、まるでこの世の終わりかのように、よく先輩から怒られたものだ。しかし、僕としては全く納得いかなかった。優先順位がおかしいと思っていたし、そもそも、そんな部分を気にするお客様はいないと思った(実は少しいるんだけど)。だけど後になってみればそれも当たり前のことだと気がついた。なぜなら、僕に指導していた先輩たちは「クレームを避けるため」に仕事していたから。言い換えれば、「上司に怒られないように」仕事をしていたのだ。

企業のブラッシュアップ

長く写真をやっていると意外な意見(平たく言えばクレーム)を頂くことがある。なのでさっきの「ドレスの直しが汚い」というのもあり得る。写真室にはそれぞれに写真に対する基準があって、それに基づいて写真を仕上げている。お客様からの意見があればそれを取り入れ、どんどんブラッシュアップしていく。だからほとんどのお客様には気に入ってもらえる基準になっている。だけど、これは全てのお客様にマッチするわけではない。どんなに平均を取ったところで、全ての人間に気に入られるものにはならない。かならず数%の少数派がマッチしないものだ。どんなに大人気のロックバンドがいたところで、気に入らない人がいるのと同じだ。ビートルズが嫌いな人だっているくらいだし、それはわかってもらえると思う。

愚策

このとき、この少数派に合わせてスタイルを変えてしまうのは愚策だ。0.1%の反対派の意見に合わせて、99.9%のファンへ迷惑をかけてしまうような内容だからだ。しかし、このような対策を取ってしまう業者は非常に多い。クレームが来た!大変だ!すぐに対応しないと!というだけでスタイルを変えてしまう。ドレスのしわもそういった背景から、尋常ではない神経を使って直すように指導がされていたのである。

全ての根本は「価値観」

話を少し戻そう。写真には整えるべきポイントが山ほどある。しかしながら、なるべく時間をかけずに治す必要がある。そのためには優先順位を見出す必要がある。しかし、その優先順位を決めるための「価値観」はどうだろうか。そう、非常にグラグラしているのである。

本来、写真を販売するのであればこの「価値観」こそを販売するべきだと僕は思う。「ドレスの細かいシワよりも表情を優先しますよ」ということをそもそも打ち出していれば「しわの方が表情より大切」というお客様は商品を買わずに済む。(まあ、持ち込み料がある限り選択の自由はないのだけれど。)しかし、この価値観を伝えるのは非常に大変な作業だ。だからこそ、ブログで、動画で、メルマガで、あの手この手を使って僕は配信をしているわけだ。

業界全体がクレーム恐怖症

実は、このクレーム恐怖症とも言える現象は写真に限ったことではない。メイクさんや、衣装屋さんも同じ現象に悩まされている。「前髪が指定した形ではなかった」と後日写真を見てクレームが入れば、メイクさんには「常に前髪を直さなくてはならない」ルールが出来る。たとえそれが風の強い中であろうと、挙式の最中であろうと、いつでもだ。実際、乾杯や、キスシーンなんていう「ハイライト」の場面ですらメイクさんが前髪を直しに飛び込んできてしまい、全部写真に写っているなんてケースもある。最悪、メイクさんで隠れて新郎新婦が写っていない、なんてケースすらある。もちろん、これは大問題だ。結婚式本番はやり直しが出来ない。僕らも画面に突然入られたら対応できない場合もあるから、ハイライトの写真が全て台無しになってしまう。

冒頭の話でのメイクさんはまさにこのタイプだった。もちろん、僕の撮りたいタイミングなんて知る由もないので、彼女は悪くない。当然、カメラマンの位置まで意識しながら仕事をするなんて高度な技術を求めているわけではない。しかし、クレーム対策の動きが、別のクレームを引き寄せかねないくらいになってしまっているのも事実だ。せっかくゲストと談笑して笑顔になっているのに、そこに割って入って前髪を直す必要はないのだ。

誤解がないようにお伝えしておくが、このメイクさんに悪いところは何もない。彼女の仕事をこなすために必死になっているだけだ。強いて言えば、この体制を作ってしまった業界が悪い。僕は、この業界の体質を直したいと思っている。僕自身も、メイクさんから見ておかしいところがあるだろうし、他の職種も含めたら直せるポイントはたくさんあるはずだ。結婚式をよりスムーズに、素敵に行う為にできることがたくさんあるはずである。

もっと良い結婚式が作りたい

まだまだ僕自身の影響力が小さいけれど、メイクさん達や他のスタッフともお互いの仕事の価値観を共有して息の合った仕事が出来るような環境を作っていきたい。僕はあたらめてこの日の撮影のあと、そう思った。

追伸:そのための企画も既に練っています。乞うご期待。