写真のプラン、迷いますよね。選べる内容もたくさんあって難しいところだと思います。
そんな時注意したいのが「選択肢が多すぎる状況」。判断を間違えてしまったり、後悔する原因になったりもするんですよ。そこで今回は、選ぶ時の基準になるスタンスをお伝えしたいと思います。
撮影の要望カットを提出したり、プランのオプションを選ぶ時など参考になるはず。ぜひ満足のいく撮影の参考にしてみてください。
基本的にお任せがオススメ
結論から言いましょう。
“ほとんどお任せ”がオススメです。
もちろん好みは千差万別ですから、人によるところではあります。ただし、多くの場合“ほとんどお任せ”が良いのではないかと思うのです。
「それじゃあ、こだわりのカットが撮れないじゃん!」と言いたい気持ちもわかります。
でも、そうではありません。
そこが“ほとんど”と言っているミソでもあります。
理由や分け方についても解説していくので、よかったら読み進めてください。
全部選ぶって超大変
理由の1つ目はめちゃくちゃシンプルです。単純に大変なんですよ。
現在では、ネットを検索すれば知識はいくらでも手に入ります。なので、写真について必要な知識も無料で手に入れることができるわけですね。
これは誇張でも何でもありません。ネットをしっかり探すことができれば、プロでも知らないような知識を手に入れることができます。
むしろプロですらネットを使って勉強しているくらいですからね。
なので、ネットを駆使すれば自分で全てコントロールすることも可能です。ただし、ものすごく時間がかかる上に、得られるものと比べたときにそこまで“お得感”がないのも事実。要するにコスパが悪いのです。
どれくらい大変なのか、わかりやすいように別のものに例えてお伝えしてみましょう。
寿司屋の腕がわかる注文とは?
「〇〇を注文すれば寿司屋の腕が分かるんだよ」
みたいな話を聞いたことがありませんか?
よく言いますよね。特定の何かを注文することで、見極める基準になるのではないかと。
僕も少し興味があったので寿司屋さんに聞いてみたことがあります。その時に帰ってきた答えが納得だったのでお伝えしますね。
『“おまかせ”です』
僕が話を聞いた寿司屋さんはそう言いました。
お寿司はその日によって状態が違うそうです。ネタの鮮度や状態、気温や湿度、お米の炊き上がり具合や酢飯にしたときの仕上がり、すべて違います。
その上で、来店したお客様の“好みにどう合わせるか?”まで含めてお寿司屋さんの技術なんだそうです。
会話も寿司職人の技術
よほどの食通でもない限り、“回らないお寿司屋さん”は緊張しますよね(笑)
僕だって緊張します。
そもそもあまり行きませんからね。なので、適切に注文できる人は少ないんだそうです。
そこで職人さんは、会話の中から好みや食べる量を聞き出します。これも必要なスキルというわけ。
寿司職人さんと言われると、“お寿司を上手に作ること”だけが技術だと思われがちです。しかし、相手の食べる量や好みに合わせて提供する順番や量をコントロールすることも技術のうち。
だから、職人さんの腕を知りたいなら
- 自分はどれぐらいの量を食べるのか
- どんなネタが好みなのか
をざっくりと知らせた上で“おまかせ”にする事で一番おいしい内容が食べられるそうです。
豆知識なんでぜひ使って下さいね(笑)
写真屋さんも同じだなーって話
お寿司屋さんの話を聞いたとき、僕は非常に腑に落ちました。
“カメラマンも同じだな”と。
ただ写真を撮っているだけに見える僕たちも、同じようにいろいろなことを判断しています。
- 押さえておくべきスタンダード
- その日の気温や天候
- 新郎新婦の体のクセ
- 好みやテイスト
- 同席している家族の温度感
などなど、多岐に渡ります。
これらの判断をした上で、最適にカメラをコントロールし、撮影を行うわけです。
僕だって『カメラマンは〇〇を撮らせれば腕がわかるんだよー』って素人が言っていたら「おいおい」ってなります。1つの事ではとても判断できないスキルなのです。
全部選べるようにしてみた結果
「カメラマンにお任せするのが1番だ」なんて話をすると、楽をしようとしているように思われるかもしれません。だって、僕たちカメラマンの楽なように撮影することもできてしまうわけですから。
でもね、ウェディングカメラマンの本心は違うんです。
やっぱりできるだけ「本人が望む写真を撮ってあげたい」。全員がそうとは言えませんけど、少なくとも僕はそういう気持ちでやってます。
実際、可能な限り全部選べるようにプランを作ったことがあるんですよ。
写真の仕上げのテイストとか、枚数とか、とにかく細かく選んでもらえるように商品を作ったんですね。結果はどうだったかと言うと……「お任せします」って言われてしまいました。トホホ。
どうやら選べる内容が細かすぎると、選びきれなくなっちゃうみたいです。
「選べるプランですよ」と案内したときには喜んでいただけるのですが、実際に画面を見ながら選んでもらっていると「もうわからない!」ってなっちゃう。確かに、写真の仕上げだけでもパラメーターが100個以上あるので、全部選ぶのはプロでも難しい話なんですよね。
**なので“こだわり派”な人は“お任せしておけば思った通りに取ってくれそうなカメラマン“を探すことに力を入れたほうがベター。**自分で組み立てるのは本当に大変だと思っておくと良いでしょう。
人間の脳は選択で疲れる
後で知ったことなのですが、人間の脳は“選択”で疲れてしまうんです。
悩み事があったりするとなんだかだるくなったりしますよね。「どうしようかなぁ」と選択を迷っていることで脳が疲れちゃってるんですよ。
そして選択肢が多すぎると“選ぶことそのものをやめてしまう“現象が起きます。
心理学の言葉で「選択回避」と呼ばれる現象ですね。
例えばアイスクリーム屋さんに行ったところを想像してください。アイスクリームは3段積み重ねることができて、トッピングも選べるようなお店です。そこで下記のような選択肢があったらどうでしょう?
- アイスクリームは10種類、トッピングは3種類の中から選んでください。
- アイスクリームを200種類、トッピングは50種類の中から選んでください。
どうですか? 上の選択肢ならなんとなく選べそうですよね。でも、下だと選び切れないと思います。好きなアイスクリームを探すだけで疲れてしまう位あるので、結局いつも頼んでいるものをお願いするんじゃないでしょうか。僕だったら「200種類もあるならバニラは絶対あるだろう」って考えで、スタンダードなバニラを選んでしまうと思います。
もはやメニューすら見ない。これが選択回避です。
「好みを伝える」が大切
では、満足いく写真を撮るためにはどうしたらいいんでしょう。
お寿司屋さんの話に戻ってみてください。「全部寿司屋の大将の言いなりになれ」とは言ってませんよね。
- 自分が食べられる量
- ネタの好みの傾向
を伝えることで一番良いサービスを受けられることをお伝えしました。
これと全く同じことです。
- 絶対に撮りたい写真
- 好みのテイスト
この辺を伝えるだけで“自分の好み通りに取ってくれそうなカメラマン“を探すことが本当に大切ってこと。
そもそもお店を間違えないことが大切
おいしい寿司が食べたいならお寿司屋さんにいきましょう。わざわざ中華料理屋さんを選んで寿司を注文する人はいないはずです。「1から10まで全部指示しなくちゃいけない」って状況は中華料理屋で寿司の握り方を指示しているようなもの。「そもそもお店変えようよ」みたいな話じゃないですか。
お寿司屋さんに行けば「お寿司屋さんで出てくるもの」しか出てきません。つまり、“お寿司が食べたい人“からすれば大きなハズレはないってこと。
カメラマン選びも、「この人に注文しておけば、概ね間違いないだろう」と思える人を選ぶことが大切です。
“ほとんど”おまかせがオススメな理由でした。参考にしてみてください。