正しく書くと、得をします。
間違えた書き方だと、損をします。
「君の書類、わかりにくいなあ」「このメールじゃ意味がわからない」そんなことを仕事で言われた経験はありませんか?もし心当たりがあれば、要注意です。指示書は名前の通り「指示を出す書類」です。指示が伝わりにくければ意味がありません。結婚写真の指示書の場合、わかりにくいと撮影から内容が抜けてしまう場合だってありえます。そこで今回は、「カメラマンが見やすい指示書」の書き方を伝授しますよ!これでなるべくちゃんと伝わるように書きましょう。
今回お届けする内容はこちら
撮影指示書だけでなく、結婚式では多くの指示書を書きます。たとえば会場の装飾に関してのイメージを伝える場合や、ケーキのデザインを伝える場合に提出したりします。つまり、いろいろな「読者」がいるということです。写真屋さんが見るのか、ケーキ屋さんが見るのか、花屋さんが見るのか、それぞれでわかりやすい書き方が違うことに注意しましょう。
よく結婚情報誌やネットで紹介されている「指示書の書き方」がありますが、ほとんどは写真屋さん向けではありません。正直、非常に見づらいです。指示書が見づらいと、最終的に見落としが起きやすくなってしまい、写真が撮れなかったという悲しい事態になりかねません。そんな事態を防ぐためにも伝わりやすい書き方が大切なんです。
そもそも、相手はプロです。あなたよりも詳しいと思っていいです。プロは、たくさんの経験値の中から、あなたにあったベストな方法を導き出して対処してくれようとします。そのため、「判断を邪魔しない」というポイントが最も重要です。詳しくは下記の記事も見てみてください。
指示書の要望を出すほど損をする!?結婚式のカメラマンを決める前に知っておきたい秘密
実際に、ガチガチに決まった細かい指示を出された場合、「あーあ、絶対別の方法が似合うのになあ・・・」なんて思いながら指示通りにやることも少なくありません。
もちろん、より良い方法を提案することもあります。しかし、ガチガチに細かい指示を出された場合、「思い込みによる強い要望」であるケースが非常に多いので、提案そのものを嫌がられてしまうことが多いのです。また、結婚式当日では時間が限られているため、そういった話をする時間すらない場合があります。
「このポイントは撮影して欲しいけど、細かい部分はプロの判断に任せよう」これくらいのスタンスが要望を叶えつつ、プロの技術を最大限引き出せるポイントです。信頼できる技術を持った相手だとわかっているなら、「要点+おまかせ」が一番いいのです。
前章は「プロ」の話でしたが、ここからはもう少し具体的な話をするために、カメラマンの話にします。
たとえば、写真の要望書であれば、インスタなどから引っ張ってきた写真を載せたりすると思います。そのときに注意してほしいのが「どれくらいその写真に近づけたいのか?」という点です。
たとえば上記の写真を要望書に貼り付けてあったとして、いろんな要望のパターンが考えられます。
「後ろ姿の写真が欲しいです。細かい部分はおまかせします。」
「目線を外した全身のカットが欲しいです。あとはカメラマンさんのセンスに任せます。」
こんな指示がわかりやすいです。つまり、欲しいポイントが一言で表せることが大切です。反対に、詳しくは後で書きますが、「一言で言えるくらいまではっきりさせる」ことが大切になってきます。
細かいポイントですが、「おまかせ」もちゃんと伝えましょう。カメラマンからすると、言われた時の安心感が違います(笑)
反対に、一番避けたいこともお伝えしておきましょう。それが、「なんとなく」で「こだわる」ことです。
「なんとなくこんな感じで撮影してください〜」
と言われて撮影して、念の為カメラのモニタで確認してもらうと
「あ〜、なんか違うんですよね〜」
と返ってくる。
この場合には、だいたいもう一度バリエーションを変えて撮影しても同じことの繰り返しになります。なぜなら、お客さま自身が「何を撮ってもらいたいのか」をわかっていないからです。この状態はお互いに非常に不毛な長期戦を挑むことになります。ゴールの決まっていない戦いをしなくてはいけません。「なんだか気持ちが伝わらないカメラマンだなあ」とお客さまは思い、「一体正解はどこなんだ!?」とカメラマンは思う。そんな状況です。
メリットは一つもありません。
そもそも、そんなことをしている間に、他のカットが撮影できる時間があるはずなんです。他の撮影の時間まで潰してしまう、非常に厄介な状態だと言えます。
だからこそ、撮りたいポイントを一言で言えることが大切になります。上手く言語化できるということは、自分の中で整理できているということです。
「気に入ってるポイントはどこだろう?」
「何を残したいんだろう?」
そういう質問を自分に投げかけてみてください。徐々に答えが見えてくるはずです。ですが、写真を言葉にするのは難しいことです。できないこともあるでしょう。その場合には、「他の撮影に及ぼすデメリット」を思い出していただいて、ある程度のところでOKを出すようにしましょう。時間は限られているのです。
言葉にできるメリットは他にもあります。自分がどこにこだわりを持っているか? を把握することは、価値観を把握することです。つまり、自分がどこに幸せを感じるのか? がわかることと同義です。これがわかれば、「なんとなく」で撮影をするよりも具体的に自分の目標を設定したり達成することができるので、結婚全体に対する満足度は上がります。
ここからは具体的に「どういうものが見やすいのか」をみていきましょう。
たとえば、会場の花のセッティングを伝える資料であれば、写真をたくさん使ってイメージを色んな角度から伝えてもいいでしょう。一つの写真では伝わらないイメージを複数の写真や言葉から伝えることができます。しかし、カメラマンが見る指示書は「結婚式当日に撮影しながら見る」ものです。動きながら見るものです。あまりたくさんのイメージを盛り込むのは逆効果になってしまうでしょう。
一つの要望に対して、参考になる写真は多くても2枚程度までにしましょう。わかりにくくなってしまいます。そして、一言でまとめられる内容を言葉で説明しておけば非常に伝わりやすいと思います。「おまかせ」を書くときはここに一緒に書いておいてください。
撮影するときは、要望の内容に漏れがないように、指示書にチェックを付けながら撮影することも多いです。つまり、チェックリストとしても機能しているのです。チェックが付けやすいようになるべくキレイに整列していると嬉しいです。よく、大小様々なイメージをランダムに敷き詰めている指示書がありますが、ものすごく見づらいです。
こんな感じ。説明文が、どの写真を指しているのかもわからないようなものも結構あるので、混乱してしまいます。
指示書の要望を出すほど損をする!?結婚式のカメラマンを決める前に知っておきたい秘密
この記事にも書きましたが、多すぎる要望はかえって撮影の質を下げてしまう結果につながります。なるべく一枚の紙に収まるといいでしょう。また、枚数が多くなるとカメラマンからも見づらい状況を作ってしまいます。撮影中は書類を広げたままにはできないので、2枚以上になると非常に見づらいのです。
もし、それでも2枚以上になってしまう場合、紙ごとに分け方を注意してください。区切りのいい場面(シーン)で分かれるようにしてほしいのです。区切りのいい場面とは下記のような場面の間。
僕が実際に受け取ったことのある指示書は最大で10枚オーバーです。確か11枚だったと思います。A4の紙にびっしり書いて11枚です。ここまで読んでいただいたあなたなら、これが見づらいことはわかっていただけると思います。一番困るのが、複数の紙を行ったり来たりしながら確認しなくてはいけない、ということ。挙式中の指示が、1枚目と3枚目と8枚目にランダムに書かれていたらどうでしょう? わかりますよね。非常に見づらいのです。
どこに何が書いてあるのかもわからず、ひたすら紙とにらめっこしながら撮影することになります。指示書の束を取り出し、広げて、要望を探し、完了したものにチェックをして、次の要望を確認して、また束をしまう。この動作をしている間にどれくらい撮影できるでしょうか。頭の中も、そのことでいっぱいです。クリエイティブな撮影はできない状況なんです。
正直言って、これだけ要望を出すと損しています。「指示書は出したほうがお得!たくさん出そう!」って意見をよく見ますが、本当によく考えたほうがいいですよ。本当に。
先にも書きましたが、指示書は動きながら見るものです。だいたい、スーツのポケットや、カメラバッグの中に入れながら撮影をします。つまり、広げながら持っていることは少ないんです。カメラマンの多くは、半分に折るか、四つ折りにしてポケットにいれます。折ったままでも、サッと出してパッとみるだけで内容が確認できたらとっても助かります。
こんなイメージです。(字が汚くてすみません・・・)これでも4つのシーンについて書くことができます。シーンで分けて貰えれば、いちいち開くことなく確認ができます。とっても助かりますね。
もちろん、「写真+文章」ではなく、「文章だけ」の場合でもこの書き方は助かります。
いかがでしょう? ポイントはわかっていただけましたか? 最後にもう一度要点だけ箇条書きしておきます。
以上のことに気をつけて、わかりやすいナイスな指示書を作ってみてくださいね!
いい写真が残せるよう応援しています。
KOBATONE 小林嘉明
追伸1:カメラマンによっては別の書き方がわかりやすい、っていう人もいると思います。そういう場合は合わせてあげてください。
追伸2:要望があれば指示書フォーマット作ろうかな。なんて思っています。
This website uses cookies.